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マルコ筆・福音書 15

15
裁判にかけられる救世主キリスト
(マタイ 27:1-2, 11-14; ルカ 23:1-5; ヨハネ 18:28-38)
1夜明けごろのことだった――
この者の処分を決定いたします・・・!!!
祭司や長老たち、掟の学者、最高議会の議員たちは、イエスの処刑の判決に対し、満足げに立ち上がって拍手した。そうとなると、待ってはいられない。さっそくピラト総督のもとにイエスを連行した。
「閣下、騒動を起こしているイエスを連れてまいりました」
「うむ」
イエスは、ピラト総督の前へと突き出された。
――ピラト総督――
2「聞くところによるとだが、おぬしはユダヤ人の王なのか?」
「ええ、間違い“では”ないです・・・!」
総督を前にイエスは堂々たる風貌ふうぼう
3「閣下!こやつはとんでもないことをしでかしたんでございます!」
「そうです、ピラトさま!こいつはとんでもない悪党です!!」
「誠実で正しいお方であるピラトさま!どうか、このヤカラを!」
祭司たちは、次々にイエスの有罪を訴えた。あまりの数の訴えに
4ピラト総督は驚きながらイエスを見た。
「これだけ多くの者が訴えておるというのに、おぬしは黙っているのか・・・?」
「・・・・・・」
5弁解どころか、気にもしてない様子になおさら驚いたピラト総督であった。
ピラト総督の慈悲じひ
(マタイ 27:15-31; ルカ 23:13-25; ヨハネ 18:39-19:16)
6さて、毎年過越すぎこしの日には民衆が選んだ囚人を1人、釈放する慣習があった。
7さて、監獄かんごくには、バラバという名の囚人がいた。
――囚人バラバ――
バラバは、彼の一味とともに殺人を犯した罪状で、投獄されている悪党である。
8――「閣下、いつもの・・・!」
ある民衆たちが今回はどの囚人を解放するのかとピラト総督のもとへやってきた。
9「!」
ピラト総督はひらめいた様子で群衆を見た。
「・・・お主ら、ユダヤ人の王を釈放してほしいか?」
10ピラトは察していた。イエスが連行されたのは祭司たちの嫉妬しっとのみが原因だと。 11とんでもない!と慌てたようすで祭司たちは、イエスではなく“悪党バラバの釈放を”と言うように民衆をうながした。
――「・・・バ〰ラ〰バ!バ〰ラ〰バ!!バ〰ラ〰バ・・・・・・!!!」
12「・・・な、ならおぬしらは、このユダヤ人の王だという男をどうしてほしいというのだ?」
13「十字架で殺せぇ〰〰〰〰!!!」
14「なにィ・・・?なぜだ?こやつが一体何をしたと言うのだ?!」
じゅ〰じ〰か!じゅ〰じ〰か!!じゅ〰じ〰か!!!
15(ぬ゛ぅぅぅ・・気は進まんが、こればかりは手に負えぬ・・・)ピラト総督は野犬のように吠える人たちを見て、彼らの要望どおりにしなければ、大きな暴動が起きる・・・そう思った。役職上、暴動を起こさせるわけにはいかない。なくなく悪党バラバの釈放を承認した。そして、イエスをムチで打ち、極悪人にのみ与える刑である十字架での処分を兵士に命じた。
16――「来い!」
ピラトの兵士たちは、イエスをピラトの官邸かんていへ連行した。そして仲間の兵士たちを全員呼び集めると、 17イエスを王に見立てるため、無理やりムラサキ色のガウンを着せ、鋭いとげが無数にあるイバラでまれたかんむりを頭にかぶせた。とげは皮膚をえぐり、イエスのひたいからは血がしたたり落ちる・・・・・・。
18――「おーこれは、これは!ユダヤの王殿ではございませんか!」
「コラッ、おまえたち!ユダヤ人の王に敬礼けいれいせんか!」
「プ・・・ブワッハッハッハァ—!」
ドスッドシ、ゴキ・・・・・・・
19そして兵士は、イエスの頭を何度も棒で殴り倒し、ペッと唾を吐きかけた・・・!!!それから兵士らは、イエスの前にひざまづいて見せた。まるで、王にひざまづくかのように皮肉ったのだ・・・
20さんざんイエスを侮辱ぶじょくし、あざわらうと、ムラサキのガウンを脱がせ、元々着ていたイエスの服を着せ直した。イエスの顔はボコボコに腫れている・・・。兵士たちは、殴り飽きたところで、イエスを十字架で処刑するため、官邸かんていから連れ出した。
ユダヤ人の王をかかげた十字架
(マタイ 27:32-44; ルカ 23:26-43; ヨハネ 19:17-19)
21アレキサンドルとルファスの父親・シモンというクレネ人が田舎から町に向かっていたときのこと――
ボロボロになっているイエスは、十字架を背負って進むよう強要されるが、苦戦していた・・・
「おい、そこのお前!こいつの十字架を一緒に背負え!」
「え!で、でもこれから用が・・・」
「ええい、いいから手伝え!」
「ゔッ・・・」
クレネ人のシモンは、突然兵士たちに強要された。 22兵士たちが向かわせるは、どくろの地ゴルゴダ。そこは、重い罪を犯したものが十字架で処せられる場所だ。
23兵士らは道中、麻酔ますいの効果があると言われていた没薬もつやくを混ぜたブドウ酒を差し出したが、イエスは飲まなかった。
24――カンッ、カンッ、カンッ、べチャッ・・・・・・
兵士たちは、イエスの体を釘で十字架にはりつけた。辺りにイエスの血が飛び散っている・・・。
――「おーし、サイコロで決めるぞ!」
「行くぞー。そーらよっ!」
「き、きたー!!もーらいっと!」
兵士らは、イエスが着ていた上質な服を切り分け、誰がどの部分を貰うかをサイコロで決めた。
25兵士たちがイエスを十字架に架けたのは、朝の9時ごろのことだ――
26イエスの頭上には、イエスの罪状を記した看板が・・・
――ユダヤ人の王――
と記されている。 27また、イエスの両側に犯罪者が2人、同じようにして十字架にかかっていた。 28「彼は犯罪者と一緒に置かれた」という聖書の言葉が実現したのだ。―― 【ギリシャ語の写本の中には、28節を付け加えているものもある】
29――「あらら、クズがいらっしゃるではないですかっ!」
その場を通りがかる人がイエスに近寄っては、侮辱ぶじょくしてあざ笑う。
――「そーこのごみクズさん!神殿壊して、3日で建て直すんですって?プッ! 30神殿の心配する暇があったら、ご自身を助けてみたらどーう?」
「そこに架かってるあなた、十字架から降りなさいっ!あ、降りれないのか、おっかし!」
31そこにいた祭司や掟の学者たちは、お腹を抱えてイエスをあざ笑うと、こう口にした。
「彼は他人を救いはしたが、自分は救えやしない!みっともないったらありゃしない!ククク」
32「もし、仮にですよ。この方が救世主キリストで、イスラエルの王ならば、今ここで十字架から降りて来ればよいではないですか。そうすれば、この我々でさえ君を信じてあげますよ!プー」
さらに、イエスの両脇にはりつけられていた犯罪者たちも混ざってイエスをあざ笑ったのだった。
救世主キリストの死にざま
(マタイ 27:45-56; ルカ 23:44-49; ヨハネ 19:28-30)
33ブオオオオオ・・・・・・
正午になると、国中が暗闇くらやみに包まれた・・・。
3時ごろになったが、まだ暗闇くらやみのままだ――
34エロイわが神エロイわが神ラマなぜサバクタニ私を捨てたのか〰〰!」
・・・・・・イエスは残りわずかの力をふりしぼって叫んだ―― 【それは、聖書の詩篇22:1の題名をアラム語にしたものであり、“見捨てた”と嘆いた訳ではなかった】
35その声は、そこらに立っていた人たちにまで届いた――
「お、おい・・・こいつ今、エリヤを呼んだぞ・・・!」―― 【イエスが言った“エロイ”が、遠くからは紀元前850年頃に活躍した伝説の預言者“エリヤ”に聞こえたのだ】
361人の男が慌てて走り出したかと思うと、スポンジを手に取り、水を混ぜた酸味あるワインを吸わせて棒に結びつけた。そして、上にいるイエスへその棒を伸ばし、飲ませようとした。
「おい、止めろ!預言者エリヤが救いにくるかどうか、確かめてみよう・・・!」
37「ぐ、ゔあ゛〰〰〰〰〰〰・・・・・・」
イエスは大声で叫んだ!かと思うとそのままぐったりしてしまった・・・。息を引き取ったのだ。
38バ、バリバリバリィ――!!!
イエスが息をひきとると同時に神の存在と人を分けへだてていた神殿の幕が上から下まで勢いよく真っ2つに裂けた!!!
39「ご、ご、ごの方は、ま゛ごどに゛神の子だった・・・・・・!!!」
十字架の正面に立っていた軍の将校は、イエスの死に様を見て確信した。 40その一部始終を離れた所から見守っていたのは、イエス一味であった女たちだ。その中にはマグダラのマリヤ、サロメ、ヨセそして末っ子であったヤコブの母・マリヤなどがいた。 41イエスがガリラヤ地方にいたとき、いつも面倒を見ていたのは彼女たちだ。また、その他にも、イエスと一緒に神殿のみやこエルサレムに来た女たちが大勢いた。
救世主キリストの埋葬
(マタイ 27:57-61; ルカ 23:50-56; ヨハネ 19:38-42)
42 休日サバスの前日――
太陽が沈み始め、あたりが暗がかりはじめたころ。
43「閣下、イエスが息を引き取ったと聞きました。ぜひ彼の遺体をこの私に埋葬まいそうさせていただきたく参りました」
アリマタヤ出身のヨセフという男が、勇敢にもピラト総督に願い出た。
――アリマタヤのヨセフ――
彼は、最高議会でも重役である議員の1人で、何よりも神の王国キングダムを待ち望んでいる男だった。
44「なんと!あやつはもう息を引き取ったのか・・・?」
ピラト総督は、イエスがすでに息を引き取ったと聞いて驚いた。
「おい、すぐ将校に確認してこい」
「はっ!」
45――「閣下、将校が確かに死亡を確認したとのことですッ!」
(そ、そうか・・・)――
「ヨセフさん、確認がとれましたので、お望み通りになさってください」
「ありがとうございます。では」
46ピラト総督から許可をもらったアリマタヤのヨセフは即座に高価な亜麻布あまぬのを購入し、遺体のあるどくろの地ゴルゴダへ向かった――
「うっ、なんて無惨むざんに・・・」
「うわぁぁぁん!ひどすぎるよぉー」
「グスン・・・非道よ、グスン、非道!!・・・グスン」
イエスを十字架から降ろし、その変わり果てた姿に仲間たちは、感情をむき出しにした。その姿なりは誰だか分からないほどだったのだ・・・。そして、購入した布にイエスの遺体をそっと包んだ――
それから、山の側面を掘って造られた立派な墓に、遺体を持って行き、そこへ安置させた。最後に、墓の扉となる大きな岩をゴロゴロと転がし、入り口をふさいだ。 47このとき、マグダラのマリヤとヨセの母マリヤは、イエスの墓場の位置を覚えた。

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