ヨハネ筆・福音書 1
1
全ての源
1全てが始まる前・・・それは、地球が出来るよりも前から・・・
全ての源は存在した。
全ての源は神と共にあり、“彼”は神そのものであった。
2“彼”は初めから、神と共に存在していた・・・
3全てのものは、“彼”により創られ、
“彼”の手によらなかった物はなに1つとして存在しない。
4“彼”は生命の源だった。
そしてその生命こそ、全人類の希望の光だった。
5闇の中で燦然と輝く光・・・
その光を覆い隠すことの出来る闇など存在しない・・・
6ヨハネという神に遣わされた男がいた。
7ヨハネの使命は、この希望の光を証言すること。
ヨハネをとおし、すべての人が光である“彼”を知り、信じるようにと。
8ヨハネ自身は光ではなく、その光を伝えにきた。
9 真の光・・・
全人類を照らす“光”は、この世にその姿を現そうとしていた。
10この世に全ての源はすでにあった。
“彼”によって創られたこの世は、“彼”の存在意義を認めなかった。
11自分のものであるこの世に来ると、自分の民につっぱねられた。
12しかし、中には“彼”を受け入れ、信じる人もいた。
そんな人に“彼”は、神の子どもとなる権利を与えた。
13そう、彼らは神の子どもとなったのだ。
母の胎から生まれてではなく、
人の想いや、願いとも関係なく、
ただ神が自分の子としたのである。
14 全ての源は人となり、私たちとともに生きた。
私たちは目の当たりにした。
神がかった“彼”の偉大さを。
一人子がまとった父の栄光を。
神の恵みと真理で溢れた“彼”を。
15 洗礼者ヨハネは“彼”を会衆の面前で公表した――
「あっしの後に来る方はあっしよりも遥かに“勝る”。あっしが生まれるずーっと前、『初めからいらっしゃった方』と、あっしが常々話していたのはこのお方でやす!!!」
16神の恵みと真理でいっぱいだった“彼”に私たちは次から次へと祝福された。
17すなわち、私たちは預言者モーセをとおして掟を与えられ、
イエス・救世主をとおして、恵みと真理を与えられた。
18未だかつて、神を見た者はいない。
一人子を残して。
彼自身が神であり、
神がどのような方かを示してくれた。
父さんと瓜二つがゆえ、
“彼”を目にした者は、神を見たのだ。
道を備えし者
(マタイ 3:1-12; マルコ 1:1-8; ルカ 3:1-9, 15-17)
19神殿の都エルサレムにいたユダヤ指導者たちが、祭司、そしてレビ人たちを、洗礼者ヨハネのもとに送りつけ、尋ねさせた。
「あなたはいったい何者で?」
ヨハネは彼らに真実を伝えた。 20恥じらいやためらいもなく、簡素に公で――
「あっしは救世主じゃありやせん」
21「では一体、あなたは?まさか預言者エリヤで?」
「エリヤでもありやせん」
「ならば、約束されし預言者で?」
「あの預言者でもありやせん」―― 【のちに送ると、神がモーセに約束した預言者を指している。聖書:申命記18:15-19, 24より引用】
22「一体どなたなのですか?貴殿についてご教示ください。
これでは、私を遣わした者たちへ説明できませぬ。自己紹介を願います」
23 洗礼者ヨハネは、預言者イザヤの言葉を引用して言った。
「あっしは、
『荒地で叫ぶ声がする・・・
神様のお通りだ、道を整えろ!神様のために道をまっすぐにせよ!!!』
とある者でやんす」―― 【聖書:イザヤ書40:3より引用】
24しつこく尋ねるのは、パリサイ派のユダヤ人たちだった。
25彼らは、続けざまに聞いた――
「救世主でもない、預言者エリヤでもあの預言者でもないのに、なぜ洗礼を授けていらっしゃるので?」
26「あっしは、水によって洗礼を授ける権限をいただいておりやすが、みなさんの上に立ち、みなさんが知りやせんお方が、 27あっしのあとに現れやす。あっしにゃあ、その方の靴ひもをほどく価値すりゃ、ありやせん・・・」
――!――
28これらは、ヨルダン川対岸にあるベタニヤ地方での出来事だった。ここで洗礼者ヨハネは洗礼を授けていたのだ。
降り注ぐ神の霊
29翌日――
洗礼者ヨハネは、自分のもとへ向かってくるイエスを見ると言った――
「見よ!世の過ちをぬぐいさる神さんの子羊でやんす!!!
30『あっしの後に来る方はあっしよりも遥かに“勝る”。あっしが生まれるずーっと前、“初め”からいらっしゃった方』と、あっしが常々話していたのはこのお方でやす!!!
31あっしも初めは、その方が誰か知りやせんでした。
だが、あっしが水で洗礼を授けてきたのは、“彼”が救世主さんであることを、神の国のみなさんへ知らせるためでござんす」
32そして、洗礼者ヨハネは自分の見たことを証言した――
「神の霊がハトのように降り、その方に止まりやした。
33その方が誰だか知りやせんでしたが、水で洗礼を授けるようにと、あっしを遣わされた神さんは、
『神の霊さんが男に下るのを見る!彼こそが神の霊さんによって洗礼を授ける者』
と報告いただきやした!!
34あっしの目はうそをつきやせん。
“彼”こそが神さんの一人子でやす!!!」
洗礼者が指した子羊
35翌日――
洗礼者ヨハネは昨日と同じ場所に、2人の弟子といた。
36すると、ヨハネの目にイエスが横切った。
「見よ!あの方こそ、神さんの子羊!!!」
37 洗礼者ヨハネの言葉を聞いた2人の弟子は、すぐにイエスの後を追った。
38「ん?何の用だ?」
イエスは振り返った。
「先生、今夜はどちらにお泊まりで?」
39「ついてくれば分かる!」
2人はイエスについていき、午後4時にイエスの宿泊先に着いた。
そして、その日はイエスとともに過ごしたのだった。
40 洗礼者ヨハネに言われて、2人はイエスに従うことを決めた。
1人は、シモン・ペテロの弟アンデレ。
41アンデレは真っ先に兄シモン・ペテロのもとへ行った――
「兄貴!救世主を見つけたぞ!!!」
42アンデレはさっそく兄シモンをイエスのもとへ連れて行った。
「ヨハネの子、シモン。あなたは岩と呼ばれる・・・!!!」
シモンをみてイエスはそう言った。
43翌日――
彼らにガリラヤ地方へ進んでほしいと願うアンデレ。それをよそにピリポに出会ったイエス――
あ、ピリポ!
「俺について来い!」
44ピリポはアンデレとペテロと同じく、ベツサイダ村出身だ。
45つい今しがたイエスに会ったばかりのピリポもすぐにナタナエルを探し当てると――
「聞いてくれ!掟の書物に書かれていた方を見つけたんだ!!!
代々の預言者たちだって記してきたあの方だ!!!
丘の上のナザレ村のヨセフの子、イエスってんだ!!!」
46「ナザレ村?はッ笑わせるなピリポ!ナザレ村ごときからそんな者が現れる訳ない」
「会えば分かる!」
47イエスは自分のもとへ向かってくるナタナエルを見て口を開いた――
「彼は信頼に値する正真正銘のイスラエル人だ」―― 【旧約聖書で、イスラエルの元の名前はヤコブであり、その意味は“嘘・偽り”であり、ヤコブに例えられたのだ。聖書:創世記27:35-36より引用】
48「と言っても私のことを知らないじゃあないですか」
「ピリポが話しをするよりも前に、イチジクの木の下ににいるのを見たさ!」
49「先生!あなたこそ神の一人子、イスラエルの王です!!!」
50「おいおい、イチジクの木の下にいるのを見たと言っただけで信じるのか?
これからあなたが見るものは、こんなもんじゃあないぞ!
51今から俺が言うこと、それは真実だ――
おまえたちはみな、天の窓が開き“この人”の上を
『天使が行き交う』―― 【聖書:創世記28:12より引用】
光景を目の当たりにする!!!」―― 【聖書:創世記28:10-17より引用】
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