ルカ筆・福音書 3

3
道を備えし者
(マタイ 3:1-12; マルコ 1:1-8; ヨハネ 1:19-28)
1それから時は流れた――
ローマ帝国では皇帝アウグストが死去、二代皇帝ティベリウス・カエサルが戴冠たいかんしてすでに15年が経っていた。
ローマ皇帝ティベリウス・カエサルは元々イスラエルの配下にあった4つの地方統治とうちを以下の4人にたくした。
ユダヤ地方――ポンテオ・ピラト総督
ガリラヤ地方――ヘロデ総督
イツリヤとテラコニテ地方――ヘロデの弟ピリポ総督
アビレネ地方――ルサニヤ総督
―― 【4人は対等な権力を持ち、それぞれのエリアで平和を保つ責任があった】
2また、ユダヤ人の宗教面での最高指導者は以下の2人。
―アンナス大祭司
―カヤパ大祭司
―― 【掟は、ただ1人の大祭司を認めていた。しかし、この頃までに宗教体制が堕落だらくし、ローマ帝国政府が宗教最高指導者たちを任命するようになり、ユダヤ人支配を強化していた。ローマ当局は、ユダヤ人に任命されたアンナス大祭司を退陣させ、娘婿むすめむこカヤパを大祭司に任命。しかし、アンナスは大祭司としての肩書かたがきと権限の多くを持ち続けていた。ユダヤ人は、大祭司の地位は一生涯だと信じていたからだ】
その頃、ザカリヤの息子・ヨハネはと言うと――
未だに荒野生活を送っていた。
――!――
遂にヨハネは、神からのメッセージを受けとった。
3――洗礼者バプティストヨハネ――
ヨルダン川沿岸えんがん一帯で神に与えられしメッセージを伝えていった。
「生き方を改める決意として洗礼バプテスマを受ければ、過去のあやまちが赦される・・・!!!」―― 【何かにひたすことが洗礼バプテスマの意味である。ヨハネは水に全身をひたすことによって洗礼バプテスマを授けた】
4伝説の預言者イザヤは、洗礼者バプティストヨハネについてこう記した。
「荒地で叫ぶ声がする・・・
『神のお通りだ、道を整えろ!神のために道をまっすぐにせよ!!!
5谷は埋められ、
山や丘はたいらになる。
ぐにゃぐにゃ道はまっすぐに。
でこぼこ道はなめらかに。
6誰もが見る。
神の民イスラエルの救いを』」―― 【聖書:イザヤ書40:3-5より引用】
7ヨルダン川付近――
洗礼者バプティストヨハネに洗礼バプテスマを授けてもらおうと、わんさか人が集まった。
だが、洗礼者バプティストヨハネは人気に興味なし。
「こんのマムシらめッ!!!神さんの裁きを逃れらると誰が言いやしたッ!
8変わりたいなら心を改め、生き方で示すがすじッ!!!『でーもあっしたちはアブラハムの子孫』だなんて考えてござんしょうが、大間違い。神さんは、石っころからでもアブラハムの子孫を創れやす・・・
9もう木を切り倒すおのは整ってやす・・・実のならねぇ木は切ってまきにしちゃあ炎に放り込むんがお決まりでやんしょう・・・!!!」
10「で、ではどうすればッ?!」
11「服を2枚持っているなら、持ってない人に1枚ゆずりなされ。食べ物があるなら、お腹を空かせた人と分かちあいなされ」
12「あんさん、俺たちゃあどうすりゃいいんだい?」
そこへ、洗礼バプテスマを受けたい税金取りたちも洗礼者バプティストヨハネを尋ねてきた。
13「定められた税“のみ”、もらうのがすじでやんしょう」
14「我々は?」
兵士たちも尋ねてきた。
「権限を使ってお金を巻き上げることから足を洗い、収入で満足するでやんす」
15 洗礼者バプティストヨハネの言動を聞いた人はヨハネこそ救世主キリストだと考え始めた。当時の人は救世主キリストの登場を今か今かと待っていたからだ。
16しかし、洗礼者バプティストヨハネは彼らの思いをきっぱりかき消した。
「あっしは、水によって洗礼バプテスマを授けておりやすが、あっしの次に来る方は、あっしみてぇな預言者をはるかに“勝る”。あっしにゃあ、その方の靴ひもをほどく価値すりゃ、ありやせん・・・その方は神の霊ホーリースピリットと炎によって洗礼バプテスマを授けられる・・・!!!
17彼にはだめなものから良い収穫物を取り出す準備ができておられやす。麦は白き粉になり、倉に納められやすが・・・いらねぇものはいた仕方ないでござんしょう。消せねぇ炎にポイと燃やされるがオチ・・・!!!」
18 洗礼者バプティストヨハネはこのように最高な知らせゴスペルを伝えた。また、他にもさまざまな方法で生き方を改めるようにと勧めたのであった。
総督に物申す洗礼者バプティスト
19 洗礼者バプティストヨハネはガリラヤ地方の領主りょうしゅであるヘロデ総督にでさえ、お構いなしに物申した。ヘロデ総督が兄弟の妻・ヘロデヤをめとったことやその他の悪事について改めるようにと!
20最終的に過ちを上塗りしてしまった。無実である洗礼者バプティストヨハネを逮捕し、投獄したのである!
一人子ひとりご洗礼バプテスマ
(マタイ 3:13-17; マルコ 1:9-11)
21 洗礼者バプティストヨハネが投獄される前の出来事――
洗礼バプテスマを授けられる群衆の中に1人の男が現れた。
――“イエス”――
イエスは、洗礼バプテスマを受ける者たちの列に加わった。
イエスが洗礼バプテスマを受け、祈っていると――
「!」
空がかっ開いたではないか!
22そして、その狭間はざまから神の霊ホーリースピリットが降りてきて、そのままイエスの上にとどまった。パタパタと舞い降りてくる姿は、まるで本物のハトのようであった・・・
「――むすこぉ・・・愛しているぞ・・・おまえは私の・・・誇りだ!!!――」
その喜びの声は天から響きわたった。そう、神ご自身の声である!
救世主キリストの家系図
(マタイ 1:1-17)
23こうして救世主キリスト、イエスの伝説はついに幕を開けた。この時、イエスはおよそ30歳であった―― 【聖書:民数記にも記されているように、当時は30歳になるまでは聖職者としての務めができなかったことが影響しているのだろう】
人はイエスのことを、大工・ヨセフの肉親の息子だと思っていた。ヨセフの戸籍上、以下のようになる。ヨセフの父ヘリから順を追って先祖をさかのぼろうではないか。
ヨセフの父
24ヘリ
マタテ
レビ
メルキ
ヤンナイ
ヨセフ
25マタテヤ
アモス
ナホム
エスリ
ナンガイ
26マハテ
マタテヤ
シメイ
ヨセク
ヨダ
27ヨハナン
レサ
ゾロバベル
サラテル
ネリ
28メルキ
アデイ
コサム
エルマダム
エル
29ヨシュア
エリエゼル
ヨリム
マタテ
レビ
30シメオン
ユダ
ヨセフ
ヨナム
エリヤキム
31メレヤ
メナ
マタタ
ナタン
ダビデ
―― 【伝説の大王。巨人ゴリアテ退治を始め、数々の伝説を残した英雄であり、今なお歌い継がれる詩篇を作った音楽家】
32エッサイ
オベデ
ボアズ
サラ
ナアソン
33アミナダブ
アデミン
アルニ
エスロン
パレス
12部族を産んだ父ユダ
34イスラエル国の由来・ヤコブ
イサク
アブラハム
テラ
ナホル
35セルグ
レウ
ペレグ
エベル
サラ
36カイナン
アルパクサデ
セム
極大洪水のノア
―― 【大洪水の時、箱舟で家族と動物たちを絶滅から救った】
ラメク
37メトセラ
エノク
ヤレデ
マハラレル
カイナン
38エノス
セツ
そして、人間の原点、アダムに到達する。
つまり、これ以上さかのぼると、世界から人間までを作った父、神にいき着く。

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