その夜は、暗やみが、これを捕えるように。年の日のうちに加わらないように。月の数にもはいらないように。 また、その夜は、はらむことのないように。喜びの声がそのうちに聞かれないように。 日をのろう者が、これをのろうように。レビヤタンを奮い起すに巧みな者が、これをのろうように。 その明けの星は暗くなるように。光を望んでも、得られないように。また、あけぼののまぶたを見ることのないように。 これは、わたしの母の胎の戸を閉じず、また悩みをわたしの目に隠さなかったからである。 なにゆえ、わたしは胎から出て、死ななかったのか。腹から出たとき息が絶えなかったのか。 なにゆえ、ひざが、わたしを受けたのか。なにゆえ、乳ぶさがあって、わたしはそれを吸ったのか。 そうしなかったならば、わたしは伏して休み、眠ったであろう。そうすればわたしは安んじており、 自分のために荒れ跡を築き直した地の王たち、参議たち、 あるいは、こがねを持ち、しろがねを家に満たした君たちと一緒にいたであろう。 なにゆえ、わたしは人知れずおりる胎児のごとく、光を見ないみどりごのようでなかったのか。 かしこでは悪人も、あばれることをやめ、うみ疲れた者も、休みを得、 捕われ人も共に安らかにおり、追い使う者の声を聞かない。 小さい者も大きい者もそこにおり、奴隷も、その主人から解き放される。 なにゆえ、悩む者に光を賜い、心の苦しむ者に命を賜わったのか。 このような人は死を望んでも来ない、これを求めることは隠れた宝を掘るよりも、はなはだしい。 彼らは墓を見いだすとき、非常に喜び楽しむのだ。 なにゆえ、その道の隠された人に、神が、まがきをめぐらされた人に、光を賜わるのか。 わたしの嘆きはわが食物に代って来り、わたしのうめきは水のように流れ出る。 わたしの恐れるものが、わたしに臨み、わたしの恐れおののくものが、わが身に及ぶ。 わたしは安らかでなく、またおだやかでない。わたしは休みを得ない、ただ悩みのみが来る」。
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