神は、ノアと息子たちを祝福しました。そして、子どもがたくさん生まれ、全地に増え広がるようにと命じたのです。 「野の獣と鳥と魚はみな、あなたたちを恐れるようになるだろう。あなたたちは動物を治めなさい。穀物と野菜のほかに動物も食用として与えよう。 しかし、いのちの源である血をすっかり抜き取ったあとでなければ、食べてはならない。 人のいのちを奪うことは禁じる。人を殺した動物は生かしておいてはならない。人のいのちを奪う者には、同じくいのちが求められる。人殺しは、神に似せて造られた者を殺すことになるからだ。 子どもをたくさん産みなさい。どんどん増え広がって、世界を治めなさい。」 それから神は、ノアと息子たちに約束しました。 「あなたたちとあなたたちの子孫、生き残った鳥、家畜、野生の動物すべてに、わたしはおごそかに誓う。もう二度と洪水で世界を滅ぼしたりはしない。 その約束のしるしに、 雲の中に虹をかけよう。この約束は、あなたたちと全世界に対し、この世の終わりまで効力を持つ。 雲が大地を覆う時、虹が雲の中に輝くだろう。 その時わたしは、いのちあるものを二度と洪水で滅ぼさないと、堅く約束したことを思い出そう。 雲間にかかる虹が、地上のすべての生き物に対する永遠の約束を思い出させるからだ。」 ノアの三人の息子はセム、ハム、ヤペテで、このうちハムがカナン人の先祖に当たります。 この三人から世界のあらゆる国民が出たのです。 さて、ノアは農夫となり、ぶどうを栽培してぶどう酒を作るようになりました。ある日、彼はぶどう酒に酔って前後不覚になり、裸のままテントの中で寝入ってしまいました。 その醜態を見たハムはあわてて外に飛び出し、二人の兄に、父親が裸で寝ていることを話しました。 話を聞いたセムとヤペテは父の服を取りに行き、その服を自分たちの肩にかけ、二人並んでうしろ向きのままそろそろとテントに入りました。そして、父親の裸を見ないように注意しながら、服を肩から落として、父の体にかけたのです。 ノアは酔いがさめて起き上がると、とっさに何があったのか悟りました。末の息子ハムがしたことを知った時、彼はこう言いました。 「カナン人〔ハムの子カナンから出た民族〕はのろわれよ。 セムとヤペテの奴隷となって仕えよ。」 また、こう言いました。 「神がセムを祝福なさるように。 カナンは彼の奴隷となれ。 神がヤペテを祝福し、 セムの繁栄にあずかる者としてくださるように。 カナンは彼の奴隷となれ。」 ノアは洪水のあとさらに三百五十年生き、九百五十歳で死にました。
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