民数記 22:5-41

民数記 22:5-41 JCB

相談の結果、ベオルの子バラムを呼び寄せることになりました。彼は、ユーフラテス川に近い、王の故郷ペトルに住んでいます。「バラムが来れば何とかなる。」そう望みをかけて、王は使いを送りました。 使いの者は王のことづてをバラムに伝えました。「イスラエル人とかいう暴徒どもがエジプトからやって来て、国中が大騒ぎだ。何しろ彼らは、まるで世界中を征服しそうな勢いで手のつけようがない。それが今にもわが国に攻め込んで来そうなのだ。すぐ来て、彼らをのろってくれないだろうか。そうすれば難なく追い出すことができる。彼らは強すぎて、このままではとてもかなわない。おまえが祝福する者は祝福され、おまえがのろう者は必ず破滅するということだから、ぜひ頼みを聞いてくれないか。」 モアブとミデヤンの長老たちによる使いの一行は、進物を携え、急いでバラムに用件を伝えました。 するとバラムが、「今夜はここにお泊まりください。明日の朝、主がお示しになったことをお伝えしましょう」と言うので、彼らはそうすることにしました。 その晩、神がバラムに現れ、「その者たちはいったい何者だ」とお尋ねになりました。 「モアブの王バラクの使いの者でございます。 暴徒たちがエジプトから来て、国境に迫っているから、すぐ彼らをのろいに来てくれというのです。戦いに勝ちたがっているのです。」 「行ってはならない。頼みを聞いてその民をのろってはならない。わたしはイスラエルの民を祝福しているからだ。」 翌朝、バラムはバラクの使いの者たちに言いました。「申しわけありませんが、お帰りください。主は行ってはならないと言われました。」 長老たちは、すごすごと王のもとへ戻り、断られたことを伝えました。 しかし王はあきらめません。もう一度、より地位の高い者たちを、前よりも大ぜい送りました。 一行が持って行った親書には、こうありました。「ぜひともおいでください。おいでいただければ手厚くおもてなしし、お望みのものは何でも差し上げましょう。どうか、イスラエル人をのろいに来てください。」 バラムは承知しません。「たとえ金銀で飾り立てた宮殿を下さると言われても、私の神、主の命令には逆らえません。 しかし、この前とは別のお告げがあるかもしれませんから、今夜はここにお泊まりください。」 その夜、神はバラムに命じました。「彼らとともに行きなさい。だが、わたしが命じることだけをするのだ。」 翌朝、バラムはろばに鞍をつけ、モアブの指導者たちと出かけました。 ところが、神はバラムの心に欲があることを怒り、途中で彼を殺してしまおうと主の使いを送ったのです。そうとは知らないバラムは、供の者二人と先を急いでいました。と、突然、バラムのろばの前に抜き身の剣を下げた主の使いが立ちはだかりました。驚いたろばは急に駆けだし、道ばたの畑に入り込んでしまいました。バラムはわけがわからず、あわててろばに鞭を当てて道に戻しました。 主の使いは、今度はぶどう園の石垣の間の道に立っていました。 その姿を見るなり、ろばはもがいて体を石垣に押しつけたので、バラムは足をはさまれてしまいました。怒ったバラムは、また鞭を当てました。 すると、主の使いが先に行って道幅の狭い所に立ちふさがったので、 ろばは道にうずくまってしまいました。バラムはかっとなって、ろばを杖で打ちました。 この時、急にろばが口をききました。主がそうなさったのです。「どうして私を三度もぶつのですか。」 「私をばかにしたからだ。剣があれば、切り殺してやるところだ。」 「でも、これまでに、私が一度でもこんなことをしたでしょうか。」 「いや、なかった。」 その時バラムの心の目が開き、剣を抜いて行く手に立ちはだかっている主の使いが見えました。バラムはびっくりし、その方の前にひれ伏しました。 「なぜ、ろばを三度も打ったのか。あなたが破滅の道を進んでいるので、止めに来てやったのに。 ろばはわたしを見て、三度ともしりごみした。そうでもしなかったら今ごろ、ろばは助かっても、あなたのいのちはなかった。」 「私が間違っていました。お赦しください。あなたがおいでになろうとは、気がつきませんでした。これ以上進むなと申されるなら、引き返します。」 「いや、このまま行きなさい。ただ、わたしが命じることだけを言うのだ。」 そこでバラムは一行と旅を続けました。 バラク王は、バラムが途中まで来ていると聞いて待ちきれず、わざわざ国境のアルノン川まで迎えに出ました。 「なぜ、こんなに遅くなったのか。絶対に悪いようにはしないと約束したのに、信じてくれなかったのか。」 「王様、おおせに従い、参るには参りましたが、残念ながら、神が命じられることしか申し上げられません。」 バラムは、王といっしょにキルヤテ・フツォテに行きました。 王はそこで牛と羊をほふり、バラムや使いの者たちにそれを与えました。 翌朝、王はバラムをバモテ・バアル山の頂上に連れて行きました。そこから見下ろすと、多くのイスラエル人が集まっているのが見えました。しかも、それは彼らの一部でした。