マルコ筆・福音書 9

9
1イエスは群衆を見渡し、こう続けた――
「今から言うことを信じろ・・・この中には、死ぬまでに神の王国キングダムの圧倒的な力を拝める者たちがいる・・・!!!」
伝説の預言者モーセとエリヤが登場する
(マタイ 17:1-13; ルカ 9:28-36)
26日後のことであった――
イエスは十二使徒のうち、岩のペテロと雷兄弟、兄ヤコブ・弟ヨハネの3人を連れて高い山に登った。山頂には、彼ら以外だれもいない。
・・・ドヒュンッ!
「ゔわぁぁぁ—っ!!!」
使徒たちの目の前で一瞬にしてイエスが変身したではないか!
3服は光り輝くほど純白で眩しい。それは人知を超えた白さであった・・・
4トコトコ・・・・・・
「!」
突然、2人の男が現れたかと思うとイエスと親しそうに話し始める・・・誰だ?と使徒たちが目をこらすと・・・な、なんとそれは、あーの伝説の預言者エリヤとモーセではないか!!!
5「イ、イエスゥ〰〰っ!光栄ですっ!ほんと光栄ですっ!なんと言うか、こ、この場に居合わせることができるなんて・・・そ、そうだ!みなさまが神を讃えるための幕屋テントを3つ、われわれに作らせて下さい!ひ、ひとつはイエスの名誉、それとモーセ様とエリヤ様の名誉のた、た、た、ために!!!」―― 【紀元前、神殿が建てられる前のユダヤ人は、幕屋テントの中に神を礼拝する場所を設けていた】
6岩のペテロは勢い余って口走ったが、自分でも何を言っているのかさっぱり。彼を含む使徒3人は恐れのあまり、まばたきもせずに硬直していた。
7――ぐおぉぉぉ・・・
雲が現れたかと思うと、彼らをおおった。また、その中から声が聞こえてきた。
「――これは俺の愛する子。いいか、“カレ”に従うのだ!!!――」
8ヒュ~・・・・・・
使徒たちが、ふと我に返って辺りを見回すと、元通り、彼らとイエスしかいなくなっていた。
9なんだかんだ起きた後、イエスと3人の使徒は山を降りていた――
「いいか、“この人”が死からよみがえるそのときまで、ここで見たことは心に閉まっておくんだ・・・!」
10使徒3人はこのイエスの忠告を守り、山で見たことを他言することはなかった。しかし、“死からよみがえる”という言葉の意味が理解できず、なんのこっちゃと話し合い、煮詰まったあげく、イエスに尋ねることにした。
11――「なぁイエス、なんで宗教家たちは、『まず最初に、預言者エリヤが来なければならない』なんて言ってんだ?」
12「あぁ、確かにまずエリヤが来て全てを“改める”。だが、重要なのは、聖書になぜ、“この人”が大きな苦痛をとおり、人にさげすまれるとあるかってことだ。 13エリヤはすでに来た。だが、エリヤのおいでを未だに楽しみにしている彼ら自身が、エリヤをひどい目に遭わせた張本人だ。聖書にあるとおりにな・・・!」―― 【エリヤは、洗礼者バプティストヨハネのことだった】
取りかれた少年
(マタイ 17:14-20; ルカ 9:37-43)
14山を降りたイエスと岩のペテロ、雷兄弟、兄ヤコブ・弟ヨハネが一味のもとへ戻ると、大勢の人たちが一味を中心につどっていた。何やら掟の学者と仲間たちが議論しているようだ――
15「おっ!イエスだー!」
「イエスが帰ってきたぞー!」
仲間はイエスを見るなり走り寄って、歓迎した。
16「何を議論してんだ?」
17イエスが聞くと、ある男が進み出てきた。
「先生!息子が悪魔におかされ、話すことができないんです・・・イエス先生ならと思い、見てもらいに来たんです!!
18憎い悪魔は、息子が口から泡を吹くほどにドンッと地面に投げ倒し、歯ぎしりをして硬直させやがるんです・・・ぐすッ・・・先生がいないって言うんで、先生のお弟子さんに悪魔を追い払うよう、お願いしたんですが、無理だったようで・・・先生、どうかっ!!!」
19「信じない時代だなー!いつまで俺が一緒じゃなきゃいけない。いつまで待てばいんだ・・・その子をここに」
20数人がかりで取りかれた少年を連れてきた。ところが悪魔は、イエスを見るなり少年をさらに苦しめ始める――
ぐわぁぁぁ〰〰っ・・・ブクブクブク・・・・・・
少年は地面に倒れて転げ回り、口から泡を吹いた。
21それを見たイエスは哀れんだ表情を浮かべた。
「いつからですか?」
「もぉ幼いときからです・・・ 22この悪魔が息子を殺そうと、炎やみずうみの中に身を投げ込むもんで、息子は何度死にかけたか。お、お願いします!もし救えるなら、うちの子を救ってくださいッ!!」
23「なぜ『もし』と言う?・・・信じる者に不可能はない!」
24「し、信じますとも!どうか、不届き者である私がもっと信じられるように、助けてください!!!」
25イエスはわんさか野次馬が集まってきたのを見ると、悪魔をギロッとにらんだ。
「おい、耳と口をふさぐ悪魔。少年から出ろ。そして2度と戻ってくんじゃねぇ」
26「ウギャァァァァ〰〰・・・・・」
悪魔は叫び声をあげながら、少年を地面にもう一度投げ倒して出ていった。少年は白目を向いてピクりともしない・・・
「し、死んじまったァァァ――!!」
恐ろしくなった群衆はキャーキャー騒ぎ始めた。
27イエスは平然と少年の手を取り、立ち上がらせた。
28騒ぎも一段落すると、イエスは仲間たちと一緒に家に帰った――
「先生・・・どうして俺たちにはあの悪魔を追い出すことができなかったんだい・・・?」
一味だけになってから仲間たちは尋ねた。
29「あの種の悪魔は、祈らなければ追い出せない」
救世主キリストの死にざま
(マタイ 17:22-23; ルカ 9:43-45)
30イエスと一味は、人に見つからないよう、密かにその町を出発し、ガリラヤ地方を通って旅を続けた。
31イエスは一味にのみ伝えたいことがあったため、他に誰もいない所に来た――
「“この人”は人の手に落ち、殺される・・・。そして、3日目によみがえる・・・!!!」
32・・・「?」
一味にはなんのことかさっぱりだったが、恐ろしくて誰もつっこむ気になれなかった。
最も偉大な者
(マタイ 18:1-5; ルカ 9:46-48)
33イエスと一味はガリラヤ湖沿いの町カペナウムに向かった。
――「道中、何について議論してたんだ?」
ある家に着くと、イエスが一味に問いただした。
34(い゛ッ・・・気づいてたのか!)仲間たちは、たちまちとぼけて、なんのことか知らんぷりっ。自分たちの中で誰が一番偉いのかを論じ合っていたなんて、とてもじゃないがイエスには言えない・・・。
35イエスは腰掛けると、十二使徒を集めた。
「一番になりたいか?誰でも一番になりたいなら、自分のことは後回しにして人に仕えなければならない・・・!」
36イエスは幼い子どもを一味の前に立たせ、その子を両手で抱えた。
37「このように幼い子どもを俺の子かのように受け入れる人は、俺を受け入れた。誰でも俺を受け入れる人は、俺を遣わした神をも受け入れたことになる!!!」
敵対しなければ味方
(ルカ 9:49-50)
38すると、雷兄弟・弟ヨハネが反応した――
「先生!勝手にあんたの名前を使って悪魔を追い出している人がいたんだ!だが心配ない!仲間じゃないんで、俺たちで止めといたっ!!」
39「止めちゃダメだ!俺の名によって、大きなことを成し遂げる人が、俺を悪く言うことはないだろ? 40いいか、俺たちの敵じゃなきゃ、味方だ! 41おまえたちが俺の仲間だからというだけで、水を一杯でも飲ませてくれる人は必ず報われる」
誘惑を絶つ警告
(マタイ 18:6-9; ルカ 17:1-2)
42「俺を信じる“うぶ”な人を誤った道へおとしいれる人は、首に大きな石臼いしうすを巻かれて、海に沈められる方がましだ・・・
43-44もし片方の手が過ちを犯すなら、その手を切り捨てればいい。両手を持って地獄に行くより、片手を失って天国に行く方が断然いい。地獄では燃えつきることがない炎で燃やされ続ける・・・ 45-46もし片方の足が過ちを犯すなら、その足を切り捨ててしまえ。両足を持ったまま地獄に投げ込まれるより、片足を失ってでも永遠の命を得る方がましだ!
47もし片方の目が過ちを犯すなら、そんな目はえぐりだせ。両目を維持したまま地獄に投げ込まれるより、片目を失って神の王国キングダムへ行く方がいいだろう。 48地獄では、人を食い尽くすうじ虫と炎とが絶えることがない。
49全ての人は火のような試練で塩漬けされて塩気を増す・・・!
50いい塩も、塩気をなくせば、だいなしだ。味付けの役にたたない。いいか、おまえたちは塩気を失わないように注意すんだ!そして、互いに平和を持って暮らすように、いいな!」

ハイライト

シェア

コピー

None

すべてのデバイスで、ハイライト箇所を保存したいですか? サインアップまたはサインインしてください。